紀龍庵

紀の川市/2015年5月竣工

紀龍庵は年齢を重ねた人にとっての快適さや機能性、シンプルさを追究し、「コンパクトにまとめる」ことをテーマにプランしました。最低限必要なスペースのみで構成する平屋にし、ワンルームのような短い動線で家事の簡略化も図るべきだと考えたのです。小さい家でも居心地よくするために、南と北側にデッキを設け、リビングやキッチン、廊下に広がりを持たせました。塀は外の視線をうまく遮る高さにしたため、カーテンやブラインドを必要とせず、光と風を取り込むことに成功。中庭を設けて室内から木々が見える工夫も施しました。暗くなりがちな玄関ホールや廊下、トイレは4mの天井高に天窓を採用して抜け感を出し、またのびのびと生活できるよう水回りは広めに。個室のベッドは造り付けて省スペース化を図りました。外との空間的なつながりだけでなく、社会とのつながりを意識していることも、この家の特徴のひとつ。山と川に囲まれたのどかな場所に建ち、川沿い北側の道路は、地域の人たちの散歩コースや通学路になっています。そこで、通行者が気持ちよく歩けるよう建物を大きくセットバックさせて、手前に景観を意識した植栽配置したのです。また、玄関横の和室では、帰郷した子どもたちが宿泊したり、大人数の集まりが開かれたり。リビングに造り付けた長さ3mの無垢スギ板のテーブルで、近所の人とお茶を飲み、お酒を酌み交わすのもよいでしょう。きちんと暮らし、ハツラツと生きたい。そう願うシニア世代にふさわしいコンパクトハウスが誕生しました。